男性でも育児休業取得が進んでいますが、育休取得率や取得日数はまだまだ女性には及びません。
ネックになっているのは収入面での不安や出世などに与える影響が未知数だからではないでしょうか?
女性社員の多くは1年の産休・育休を取得するのはもはや「当たり前」となっていますが、男性育休はまだまだその領域には達していませんよね。
本記事では年収600万円の会社員が1年間の育休を取得した場合の損失額(フルタイム勤務していた場合と1年間育児休業を取得していた場合の収支の差額)を計算してみました。
育児休業の前提条件
産後休業+育児休業の取得期間は1年間。
休業前の額面年収は600万円、毎月の給料は37.5万円(手取り29万円)、賞与は半年で額面75万円(手取り60万円)と仮定します。
育児休業給付金は育休開始~6か月までは手取り給料の8割、半年以降は手取り給料の6割として計算しました。
*育児休業給付金の支給額
育休開始~育休半年までは休業6か月前の平均賃金の67%支給(半年以降は50%支給)
(社会保険料免除のため手取りの8割換算、半年以降は6割換算として計算しています。)
育児休業給付金と手取り給料の差額
育休開始~育児休業半年までの1月当たりの差額は
29万円(手取り)ー23万円(手取り×0.8)=6万円となり、
これが6か月継続するので合計で36万円の差額となります。
次に育児休業半年~1年までの1月当たりの差額は
29万円ー17.4万円(手取り×0.6)=11.6万円となり、
これが6か月継続すると70万円の差額となります。
つまり育児休業中の育児休業給付金と手取り給料の差額は1年間で106万円となります。
育児休業取得による賞与への影響
一般的な会社は勤務実績と賞与支給の時期がずれていることがあります。
そのため育休期間中の賞与は満額支給で、育休復帰後の賞与は0円というケースもあります。
賞与は一般的には半期に1回ずつ(年2回)です。
育休期間中は社会保険料免除のため、雇用保険料と所得税だけ引かれます。
通常であれば賞与支給額は額面75万円、手取りは約60万円ですが、育休期間中は手取りで70万円支給されます。
これが年2回あり、育休中の方が年間20万円も手取りベースでの賞与額は多くなります。
手取り給料と育児休業給付金の差額が1年間で約106万円のマイナス、賞与は20万円のプラスとなりましたので、差額の86万円が育休を1年取得した場合の損失額となります。
どうでしょうか?大きな金額ではありますが、1年間育児休業しても手取り収入は86万円しか変わらないというのは少し驚いたのではないでしょうか?
フルタイムで働く (手取り) | 育児休業給付金 (手取り) | 差額(月額) | 差額(半年) | |
育児休業開始~育児休業180日まで | 給与:29万円 | 23万円 | -6万円 | -36万円 |
賞与:60万円 | 育休中の賞与:70万円 | +10万円 | +10万円 | |
育児休業181日目~ | 給与:29万円 | 17.4万円 | -11.6万円 | -70万円 |
賞与:60万円 | 育休中の賞与:70万円 | +10万円 | +10万円 | |
全期間合計 | -86万円 |
育児休業取得による保育料と住民税への影響
育児休業給付金は非課税所得とされており、育休中の課税所得は大幅に低下する場合があります。
そのため翌年の住民税や保育料などが大きく減ることもあります。
育児休業を開始した時期にもよりますが、わが家を例にすると住民税は約3万円→5千円になりました。
保育料は世帯年収や地域によって違いますが、わが家の場合は夫婦で育休を取得していたので約3万円→1万円、副食費5千円も免除となりました。
住民税:2.5万円×12か月=30万円
保育料:2.5万円×12か月=30万円
1年間の育休を取得したことで、合計で60万円のプラスとなりました。
まとめ
手取り給料、賞与、住民税と保育料の差額をまとめると、1年間の育休の真の損失額が分かります。
ちなみに育休復帰後の賞与は育休中が休業扱いとなるため0円となる場合がありますので、それも考慮しています。
手取り給料と育児休業給付金の差額:-106万円
賞与の影響分:+20万円(1年目)-120万円(育休復帰後は賞与ゼロになるため)=-100万円
保育料と住民税:+60万円(地域や世帯年収による)
合計146万円が真の損失額となりました。
額面年収600万円の人が1年間の育児休業を取得した場合と1年間通常業務した場合の本当の差額となります。(育児休業取得時期や賞与の支給規定、保育料などにより金額は変動します)
ちなみに額面年収600万円の人の手取りは約460万円です。
本来ならば1年間の休業の損失は460万円ですが、育児休業の場合は約150万円です。
半年の育児休業なら損失は半分以下となります。
是非、目の前のパートナーのために、そして何より自分のために育児休業取得という選択肢を持ってほしいと思います。