2025年4月から育児休業が手取り10割に?時短勤務者に最大10%の補助がつくってホント?子育て世帯への新しい援助を解説します。

令和7年4月から新たな子育て支援が始まります。

①夫婦で育児休業を一定日数以上取得すると育児休業給付金が上乗せになる出生後休業支援給付

②2歳未満の子をもつ親が時短勤務制度を選択した場合、最大で賃金の10%を補助する育児時短就業給付

本記事ではこの2つの制度について解説します。

実質手取り10割?出生後休業支援給付とは

令和7年4月から、子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を給付し、育児休業給付とあわせて給付率80%(手取りで10割相当)へと引き上げられます。

厚生労働省 令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について

現行の育児休業を取得した場合、休業開始から通算180日までは休業開始前賃金の67%(手取りで8割相当)が支給されますが、この出生後休業支援給付による上乗せは28日間が上限となります。
しかし1ヶ月間の育児休業でも手取り額は変わらないというのは金銭的理由で育児休業を取得しづらかった人には朗報ですよね。

また配偶者が専業主婦(夫)の場合や、ひとり親家庭の場合などには、配偶者の育児休業の取得は必要ありません。

2歳未満の子を持つ時短勤務者は最大で給料の10%を補助

現状では、育児のための短時間勤務制度を選択し、賃金が低下した労働者に対して給付する制度はありません。

令和7年4月からは被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合の新たな給付として、育児時短就業給付が創設されます。

給付率は最大で時短勤務中に支払われた賃金額の10%とし、時短勤務の賃金と給付額の合計が時短前の賃金を超えないように給付率が調整されます。

厚生労働省 令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について

制度フル活用でもらえる金額は?

2つの制度を活用した場合、どの程度もらえるお金が増えるのでしょうか?

モデルケースとして夫婦ともに年収300万円(月給25万円)で育児休業を28日取得した場合で計算してみました。
このケースでの育児休業開始時賃金日額は、8333円(25万円×6ヶ月÷180日)となります。

〇通常の育児休業の支給額
8333円×67%×28日×2人=約31.2万円

〇改正後の支給額
8333円×80%×28日×2人=約37.3万円

現行の育児休業を夫婦2人で取得した場合よりも、出生後休業支援給付により改正後のほうが約6万円も多く受給できます。

また子どもが1歳を迎えて、時短勤務で復職し1年間の育児時短就業支援給付を受給できる場合も試算してみます。

月給25万円のフルタイム労働(8時間)から時短勤務に変更すると、一般的に勤務時間7時間の場合は約21.9万円、勤務時間6時間の場合は約18.8万円となります。

このようなケースで育児時短就業支援給付金が支給されると月給は次のようになります。

・7時間勤務に変更した場合:21.9万円+21.9万円×10%=24.1万円
・6時間勤務に変更した場合:18.8万円+18.8万円×10%=20.7万円

フルタイム時の月給25万円の場合、1時間の時短勤務の場合は年間約26万円、2時間の場合でも約22.5万円ほど通常の時短勤務よりも多く受け取ることができます。

ただし時短勤務の給料が支給限度額を超えた場合は支給されないようです。

仮に夫婦2人で時短勤務している場合は、年間約50万円の給付を受けることができ、男性も収入の低下を気にせずに時短勤務を活用しやすくなりそうです。

まとめ

今回は夫婦が14日以上の育児休業を取得した場合、育児休業給付金に上乗せされる出生後休業支援給付と2歳未満の子を養育するために時短勤務している親への補助である育児時短就業給付について解説しました。

個人的にはこの2つに該当する育児休業と時短勤務を経験しているので、「非常に良い制度だな~」と感じていると同時に「この制度が自分の時もあれば・・・」と考えてしまいますよね。
特に時短勤務の補助は早期の職場復帰を促し、女性だけでなく、男性の家事育児参画による収入低下の問題解決に大きく寄与してくれると考えています。

わが家も夫婦2人で時短勤務をしている時代がありましたが、この制度があれば金銭的負担が少なくて済んだと思いますし、男性も積極的に時短勤務を活用しやすくなると思います。

これらの制度は令和7年度(2025年4月~)からスタートします。

詳しい制度については下記参照ください。

厚生労働省 令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001293213.pdf

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